「それじゃ…メリークリスマス!」 「「メリークリスマス!!」」 掛け声と共に、缶ビールのぶつかる音が響き渡った。 そして、皆が中身…ビールを飲み干していく。 「…っはー。  くそう、結局今年もこの面子でクリスマスを迎える事になるとは…。」 そう言ってかなりいいペースで缶を空にしているのはハチ。別名高溝八輔。 「ま、もてないハチがいけないんだから仕方が無いわよねー。」 ばっさりと正論でハチをぶった斬っているのが渡良瀬準。 オンナノコに見えるが、立派なオトコノコだ。確認してるから間違い無い。 「…つーか、何故に毎年この面子でクリスマスを迎えねばならんのだ。」 そして、ハチよりは若干ペースを落として飲んでいるのが…俺、小日向雄真。 でもって今は12月24日。一般的にはクリスマスイブと言われている日である。 そんな日に、俺達3人は準の家で酒盛りを始めていた。 「なにおう!?  クリスマスを一人で過ごす寂しい雄真と準に少しでも明るくなってもらおうと言う  この俺の心意気が分からんと言うのか!」 「なに言ってるのよ。  単にハチが毎年独り身で寂しいから、あたし達を無理やり付き合わせてるだけでしょ?」 「……ううっ。  何故だ。何故に俺には彼女が出来ないんだ…。」 マジ泣きするハチ。 …うーん。理由って言われるとな。 「「……ハチだから?」」 「ぐはっ!?」 ハモった俺と準の言葉に、ハチが大きく仰け反る。 「俺だからって何だ、俺だからって!」 「だって……ハチだし。」 「諦めなさい。ハチはそう言う星の下に生まれたのよ。」 ぽんぽんと肩を叩く準。…マジで容赦無いな。 何かあったのか? 「そ、そう言うお前らだって結局今年も彼女は出来てないだろーがっ!」 「……あー、いや、確かに『彼女』は出来てない……かな?」 言葉を選びつつ、俺はちらり、と目線を準に向ける。 「…そうよね。雄真は何時になったら彼女が出来るのかしらね?」 そう言って、くすくすと笑う準。 …よく言う。絶対に俺に彼女が出来ない事を分かってる癖に。 「そうだなぁ……そろそろ、俺もハチみたいに彼女を作るために頑張らないといけないかな?」 ちょっと悔しかったので、俺も挑発する台詞を言い返す。 「そうだぞ雄真!学生たる者、学問だけでは無く恋も学ばなければならん!」 「ハチは恋以前に学問も学びなさいよ。  期末テスト、結局赤点で補習確定なんでしょ?」 「ぐぉぉぉぉ、その話を出すなぁぁ……。」 ばたり、とコタツの上にうつ伏せになるハチ。そしてそのまま、ぴくりとも動かなくなってしまった。 …どうやら最初のピークを迎えたらしい。まあ、暫くしたらまた復活して飲み始めるんだけど。 「まったく…あたしがあれだけ教えてあげたのに、全然意味が無かったわね、ハチは。」 すっ。←優雅に立ち上がる。 てくてく。←俺のほうに歩いてきた。 ぽふっ。←俺の隣に着席。 「…なんで俺の隣に?」 「あら、愛しい雄真の隣に居たら駄目なの?」 「おいおい…。」 「大丈夫、ハチなら完全に熟睡中だから。多少の事じゃ起きないわよ。」 そう言いながら、ゆっくりと準の手が、俺のズボンに……って。 「何をしようとしてるんだっ!?」 「何って…もう、雄真ってば今更純情なふりしても駄目よ?」 ズボンの上から、ゆっくりと俺のモノを撫で上げる。 「でも……そろそろ彼女を作るために頑張るつもりだなんて、初めて知ったわ…ねえ、雄真?」 じろり。 半目で俺の事を睨みつけてくる。 「あ、あの台詞は…最初にお前が挑発するからだろうが。」 「…どうかしらねー。  雄真ってば実は凄くモテモテだから、ちょっと目を離すと……。」 じーっ。 ぎゅ。 「うをっ!?」 ジッパーを下ろし、準の手が中へと入ってきた。 そしてそのまま、俺のモノを強めに握り締める。 「……他の女の子も、いっぱい啼かせちゃうんじゃないかしら?」 にっこりと俺に微笑む準。でも、全然目は笑ってない。 ……と言うか、滅茶苦茶怖い。 「い、いや、俺は別にモテモテじゃ無いし…。」 「……本気で言ってる?」 「……割と本気なんだが?」 「………はぁ。」 何故か思いっきりため息を付かれた。 「なんだよ、そのため息は。」 「雄真…それじゃ余りにも、周りの女の子が可哀想よ?」 「…は?」 「春姫ちゃん、杏璃ちゃん、小雪さん、すももちゃん、沙耶ちゃん、伊吹ちゃん……。  よりどりみどりじゃない。」 「……そ、そうなのか?」 今まで、すももは兄妹だから多少は俺に懐いてるかな、ぐらいにしか思ってなかったんだが…。 「……ま、何処かの世界ではハーレムを形成してたりするんだけど。」 「ん?何か言ったか?」 「ううん、ちょっとメタな話を。  で、実はモテモテだと気づいた雄真は、いったいどうするの?」 ゆっくりと掴んだ手を動かしながら、準が俺を見つめる。 さっきとは違い、少し不安げな表情で。 「…ばーか。  こう見えても俺は、純情で一途なんだ。」 ぐっ。 半ば無理やり、準を抱き寄せる。 「…いいの?あたし、どんなにオンナノコっぽくしても、結局は……。」 「それ以上言うな。  ……お前と結ばれる時に、そんな事はとっくに覚悟してた。  それに、そういうのは関係なく…いや、それもひっくるめた上でお前の事が好きなんだ、準。」 「……雄真っ。」 ぎゅうううっ。 「いててててててっ!?」 「きゃっ!?ご、ごめん雄真っ!?」 慌てて、俺のモノから準が手を離す。 「……お前はいきなり何をするかっ!?」 「ご、ごめんね。  さっきの言葉が嬉しくって、自然に手に力が入っちゃって……。」 「…気持ちは嬉しいけど、勘弁してくれ。  これで使い物にならなくなったら…ちょっと、いや大分泣くぞ。」 「だ、大丈夫よ!だって雄真のだもの!」 「何を根拠にそんな事を…。」 「……だって、いつも雄真は…コレでいっぱい、あたしを愛してくれるじゃない。」 頬を赤く染め、準が呟く。 「そ、それは…まあ、実際そうなんだけどさ。」 今までの準との行為を思い出してしまい、俺も少し恥ずかしくなってしまった。 我ながら、色々と無茶やマニアックな事を……。 「………雄真、えっちな事考えたでしょ。」 「な、何を急に!?」 「だって……雄真のコレ、また大きくなったわよ。」 そう言いながら、再び準が俺のモノに手を伸ばす。 「…痛くない?大丈夫?」 「…痛くない。と言うか……凄く気持ち良い。」 準の手が動く度に、びくん、と反応してしまう。 「そっか……良かった。  それじゃ、お詫びも兼ねて……。」 「お、おい、準?」 ゆっくりと、準の頭が下がっていく。 そして、俺の下半身に降りていって……。 「……あむっ。」 「うぁっ…!?」 口に俺のモノを咥えたまま、ゆっくりと舌先で先の方を嘗め回してくる。 「んふ……ふうはほ……おいひ♪」 「…美味しい、じゃ、無いっ。  ハチが対面に居るんだぞっ……。」 「……ぷぁっ。  大丈夫だって……雄真が大きな声さえ出さなければ、ね?」 くすり、と笑みを浮かべた後、再び準は俺のモノを咥え込む。 「んっ、ん、んぐっ…んむぅっ。」 「ば、馬鹿っ……。」 喉の奥まで飲み込み、頭を前後に振り動かす。 舌も忙しなく動き回り、俺を攻め立てる。  「準っ……其処までにしとかないと、俺……。」 「……♪」 上目遣いで俺を見上げ、にっこりと微笑む準。 その間も俺のモノへの奉仕は休む事無く続けられている。 つまりは…。 「…だ、駄目だ。それは駄目だぞ、準っ。」 「ひょうふぁい……ふうはほへーえひ、んっ……いっふぁいのはへへっ。」 「う、あっ……!?」 「ん〜……あー、良く寝たぜっ!!」 「「っ!?」」 突然のハチの声に、咄嗟に準は咥えたままコタツの中に隠れ、俺も準を隠すように コタツ布団をかけ直す。 「…お、おはようハチっ!?」 「おう、悪いな雄真!ちょっとダウンしちまったけど、完全復活だ!  さーて、またガンガン飲むぞー……って、準は何処行ったんだ?」 きょろきょろと周りを見渡すハチ。 俺は思わず、自分の足元を見て……相変わらず俺のモノを咥えたまま、顔だけを出した準と目が合った。 「…〜〜っ。」 ぷるぷる。 「ぐぁ…咥えたまま首を振るなっ……。」 「ん?雄真、今何か言ったか?」 「い、いやっ!何でも無いぞ、何でもっ。」 慌ててハチの方を向き直し、首を横に振る。 「ああ、そう言えば準は急に仕事の電話が入ったとかで自室で打ち合わせ中。  ちょっと集中したいから入るなって言ってたぞ。」 「そっか、んじゃあ仕方無いな。  ……邪魔すると、容赦無くドロップキックが飛んでくるからな。」 「…アレを何度も喰らって未だに何とも無いお前も、大したもんだよな。」 見てる限りだと、相当痛そうなんだけど。 …実はハチのまわりだけ、物理や魔法を軽減するフィールドでも展開されてるとか。 「ま、居ない奴は仕方が無い。  さーて雄真、ガンガン飲むぞー!!」 そう言って、俺に缶ビールを差し出すハチ。 「…おう、サンキュ。」 とは言え、俺は今、出来るだけ身体を動かしたくない状態。 何故なら……さっきの準の攻めで、限界がかなり近い。 更には、未だに俺のモノは準の口の中にあるのだ。 だから、少し動いただけで……準の舌や歯が俺のモノに触れ、気持ちよくて仕方が無い。 「……?  どうした雄真?早く受け取れよ。」 「いや…受け取りたいのはやまやまなんだが、ちょっと動けないと言うか、少し落ち着くまで  待って欲しいと言うか……。」 「…は?」 ……よし、落ち着いた。 大丈夫、まだ大丈夫。 「それじゃ…受け取るぞっ。」 気合を入れ、俺は缶ビールを受け取る為に、身体を前に倒す。 そうすると当然、俺のモノも前に進み……必然的に、準の喉奥を責める事になってしまう。 「んっ…!?」 「くっ……。」 ぐぐもった準の声と、反射的に喉奥で締め付けられた事での快感。 その両方に耐えながら、震える指先で何とか缶ビールを受け取る。 「……た、耐えた。」 「……いや、何を言ってるんだ雄真?」 さも不思議そうな目で俺を見るハチ。 ……くそう。こっちがどれだけ大変か知らないで。 「いやいや、こっちの事だ。気にするな。」 「……雄真。お前、何か変だぞ?」 「そ、そうか?」 「そうだ。まるで……俺に何かを隠しているような。」 「っ!?」 鋭いハチの言葉に、一瞬身体が震える。 「…そうか、分かったぞ。」 「な、何が分かったんだ?」 「雄真、貴様…。」 じろり、と鋭い目線を俺に向けるハチ。 そして。 「……本当は彼女が居るんだろう!」 「……なんだ。」 「な、なんだって何だっ!?」 一瞬、コタツの中に居る準に気づかれたのかと思った。 ……良く考えたら、ハチだもんな。気づかれる訳無いか。 「あのな…もし俺に彼女が居るなら、クリスマスはその彼女の傍に居るとは思わないか?」 「…確かに。と言う事は、まだ雄真には彼女は居ないと!そうだな!!」 「……『彼女』は、な。」 実際の所は、ちゃんと傍に居る訳だし、正確には『彼女』と言うのは微妙な部分があるから…… 嘘は付いてない。うん。 「そうだよな、この俺より先に雄真に彼女が出来るなんて事は無い!」 「なんでそう言い切れるんだお前は。」 「ふっ……勿論、この高溝八輔様の方が雄真より男だからだっ!!」 「あーはいはい。そうだな。」 一気に缶ビールを飲み干し宣言するハチ。 …まあ、言うだけならタダだしな。そっとしておいてやろう。 「……しかし、勿体無いよなぁ。」 「は?いきなり何の話だ?」 「準だよ、準。」 「……準がどうかしたか?」 「だってなぁ……そこら辺りの女の子よりも可愛くて女らしくて、家事も出来ると来たもんだ。」 「…まあ、確かに。」 準と付き合って、それは嫌と言う程分かっている。 家事全般をあっさりとこなし、友達も男女問わず多い。 更にはモデルのバイトにファンクラブもある。 ……良く考えたら、何処の完璧超人だ、準は。 「……♪」 ちらり、と下を見ると、頬を染めて嬉しそうに俺を見上げる準が。 ……いや、だからいい加減俺のモノを口から出せよ。 何時まで咥えてるつもりですか、準さん? 「だけどなぁ……どうしても超えられない壁があるからな。」 「……準が男だって事か?」 「そりゃそうだろ。  …だって男同士だぜ?正直……やばくないか?」 「それ、は……。」 じーっ。 再び下を見ると、不安そうな準の瞳が。 「…まあ、これはあくまでも俺の考えなんだけど。」 こほん、と咳き込み、一瞬の間を置く。 「確かに、世間的な目や倫理的な問題からすると、色々と言われるのかもしれない。  だけど……それでも、それらを考慮に入れても…好きって感情は止められないと思うし。  準も、将来準を好きになるかもしれない相手も……その辺はきっと、分かってるんだろ。」 「おお……なんか雄真、凄いな。  まるで、自分が体験してるみたいな内容の発言だったぞ。」 「……それだけ、俺の脳内コンピュータが凄いんだ。」 そう言って誤魔化す。 実際はハチの言う通りなんだし、今喋った事は全部本音なんだけどな。 ……うわ、なんか急に恥ずかしくなってきた。 「まあ、そんな事は置いといて…ほら、缶が空いてるぞハチ。どんどん飲め。」 「おう!どんどん行くぜー!!」 まずは、目の前のハチを再度潰さないと。 そして、コタツの中に居る準を外に……。 「……うあっ!?」 「ん?どうした?」 突然の快感に、思わずうめき声が出てしまう。 「い、いや、なんでもない。  ……ほらハチ、テレビに出てるの、お前の好きなタレントじゃないか?」 「ん?……おおっ!」 テレビにかぶりつきのハチを確認してから、コタツ布団を少し捲る。 「んっ、んっ、んぅっ……。」 其処には、再び頭を揺り動かし、俺のモノを攻め立てている準の姿が。 「…何してるんだよっ。」 ハチには聞こえないように、小声で準に囁く。 「ぷぁっ……見て分からないの?」 「そういう事を聞きたいんじゃ無い。  ……ハチに気づかれたらどうするっ。」 「だからって……ちゅっ、ずっとこのままって訳にもいかないでしょ…ぺろっ。」 会話をしつつも、準の手は竿をゆっくりと擦り、唇や舌は先の部分を刺激する。 「それに…雄真だって、此処でお預けなんて……辛くない?」 「そ、れは……。」 返答に困り、準から顔を逸らしてしまう。 「ふふ…それに、ハチに気づかれないようにあたしにご奉仕されるって……興奮するでしょ?」 「……そんな事は無いぞ。」 びくびく。 「…こっちの雄真は、とっても素直で良い子ね……ちゅっ。」 「ううっ……嘘の付けない奴め。」 「……いいの。  だって、あたしだって……このシチュエーションに、凄く興奮してるんだから。」 赤く染まった顔。潤んだ瞳。 それは……コタツの中に居たから、と言う事では無いらしい。 「恥ずかしいけど、あたしのも……大きくなってるの。  さっきから、びくびく、って震えて……。」 「…準。」 「あのね、雄真……もう、あたしのショーツ……びしょびしょに濡れちゃってるの。  これで、もし…雄真の精液を飲んじゃったら……それだけで、あたしも……。」 ……ああ。 どうしてこいつは……そんな事を俺に言うのか。 そんな事を聞かされたら……今まで少ない理性で、必死に抑えてたのにっ。 「ね、だから……んむぅっ!?」 言葉の途中で遮り、準の口に再び俺のモノを半ば無理やりに咥えさせる。 「…お前が悪いんだからな、準。  お前が、そんな事を言うから……っ。」 「……♪」 さも幸せそうに、俺のモノを咥えたまま頷く準。 「正直、これから準の事を気遣えないかもしれないけど……勘弁してくれ。」 「…いいほ、んっ…いいはは……。  ふうはほへいえひ…いっふぁい、いっふぁいひょうふぁいっ。」 「そっか…それじゃ、いっぱい飲ませてやるからっ。」 「んぐっ!?」 準の承諾を得た俺は、逃げられないように片手で準の頭を押さえ込む。 そのまま、ハチにばれないように小さく腰を動かし、準の喉奥を突く。 「んぐ、んぐぅっ……んっ、んんっ……。」 少し涙目になりながらも、準は健気に俺の行為を受け入れるどころか、 自らも頭を揺り動かし、俺に更なる快楽を与えてくれる。 「っ……準っ。」 「……あ?準がどうした、雄真?」 「うおっ!?」 俺の漏らした言葉に反応したハチがこちらを向く。 「雄真、なんか震えてるみたいだけど……寒いのか?」 「そ、そう…だな。  少し寒いの、かも…っく、しれない。」 「そうか……それじゃ、コタツを少し強く……。」 「それは駄目だっ!!」 「うおっ!?」 突然の俺の大声に、ハチがびっくりして仰け反る。 「ど、どうしたんだ雄真?急にそんな大声を出して…。」 「い、いや……実はコタツを強くし過ぎると、女性にモテなくなると学会でこの前  発表されてるのを思い出したんだっ!!」 「……。」 ……ま、不味い。 咄嗟の事とは言え、幾らなんでもこれは……。 「……そ、そうだったのかっ!!  サンキュー雄真!もう少しでモテなくなるところだったぜ!!」 「…良かった。ハチが酔っ払ってて……。」 さすがに駄目かと思ったが……今ばかりは、ハチの馬鹿さ加減に感謝だ。 「……ぬぅっ!」 「ど、どうしたハチ?」 「いや、今画面に出てるこの子……良いな!」 そう言って、再び画面にかぶりつきになるハチ。 「そ、そうだな……。」 俺は、とりあえず相槌を返すのが精一杯。 「…準っ。」 小声で囁くと、準が一瞬動きを止め、俺を見つめる。 そして……俺を見つめたまま、今までで一番大きく頭を揺り動かす。 「んっ、んぐ、んむ、んっ、んむぅっ。」 「ぐ、ぁっ……。」 じわじわと襲い掛かってくる快楽の波。 俺のモノの根元から、ゆっくりとせりあがって来る何か。 「…っ!」 「ぐむぅっ!?」 限界を感じ、反射的に両手で準の頭を捕まえ、喉奥の深くまで、準の口の中に突き入れる。 さすがに苦しかったのか、準がえづく。 そして、それがきっかけとなって。 「うぁっ…!?」 「っ!?」 どくんっ。 「んぐ、んぐぅっ……。」 どくん、どくんっ、どくっ。 「んんぅ、んむっ…んっ。」 涙目になりながらも、準はゆっくりと、少しずつではあるけど……俺の出した精液を飲み干していく。 「じゅ、んっ……。」 「……んーっ!」 俺の声に、首をふるふると横に振る準。 どうやら、意地でも最後まで飲み干す気らしい。 どく……どく、どく…ん。 「ん、んっ……ん、は……ぁ。」 俺の精液を全て飲み干した後、ゆっくりと、準の口から俺のモノが吐き出される。 それは…準の唾液と、俺の精液でぬるぬるになっていた。 そして、準はそのまま、俺の太ももに頭を寄せ、呆然としている。 「………って、しまった。」 ひとしきり放出を終えた俺は、慌ててハチの方を向く。 ……良かった。ハチはテレビにかぶりつきで、全然こっちに気づいてない。 「…はぁ。」 極度の緊張と射精後の虚脱感から、思わずコタツの台に突っ伏す。 「…ふー、堪能した……って、どうした雄真?」 「あー……ちょっと飲みすぎただけだ。  休めば直る。」 「なんだなんだ、だらしがないぞー!」 「……すでに一回ダウンしたお前が言うな。」 「はっはっは、気にするな!  …んで、俺はちょっとトイレに言ってくるぜ!」 「……ごゆっくり。暫く帰ってくるなこの野郎。」 暫くして、居間の扉が開き、そして閉じられる音が。 「…もう大丈夫だぞ。」 「……うん。」 ようやく、準がコタツの中から出てきた。 「…無理して全部飲まなくても。」 「…無理やりあたしの頭を捕まえて、喉奥までねじ込んでおいてよく言うわね?」 「そ、それは……。」 「やっぱり、雄真ってばケダモノなんだから。」 「誰がケダモノか、誰がっ。」 「でも、あたしに無理やり精液を飲ませるの……興奮したでしょ?」 「……ああ。」 「うん、正直で宜しい。」 こつん、と準の頭が俺の肩に乗せられる。 そして、仄かに上気した顔で俺を見つめ。 「でもね……あたしも、すっごく興奮しちゃった。  無理やりねじ込まれて、容赦無く喉奥に雄真の熱い精液を注ぎ込まれて……。」 「……準。」 「でね……あたし、無理やり飲まされながら……いっちゃった。」 小さく囁き、恥ずかしそうに目を逸らす準。 「……マジで?」 「…こんな嘘ついてどうするのよ、馬鹿っ。」 ごすっ。 「げふっ!?」 準の拳が、俺の脇腹に突き刺さる。 「全く……後で覚えてなさいよ、雄真。」 「俺の所為かよっ!?」 「あったりまえでしょっ!」 じろり、と俺を睨みつける準。 でも、それも一瞬だけで、再び頬を染め、上目遣いになって。 「…雄真の所為で、精液を無理やり飲まされるだけでいっちゃう、えっちな子にされちゃったんだから。  ……ちゃんと、責任取ってよね?」 「……。」 ……だから。 どうして、そんなぐっと来る台詞をぽんぽんと吐けるのか、準? 「準……。」 「雄真…。」 潤んだ準の瞳を真正面から見つめる。 準も俺を見つめ、そして――。 がちゃり。 「あーすっきりしたっ!」 「「っ!」」 ドアの開く音に、慌てて二人とも距離を取り座りなおす。 「お、戻ってきたのか準……って、あれ?」 「「………。」」 「お、おい……なんで二人とも、俺を睨んでるんだ?」 「……別に。気にしなくていいわよ、ハチ。」 「…そうだ。気にしなくていいぞ、ハチ。」 ほんっっとうに間の読めない奴め。 どうしてくれようか。 「さあさあハチ、トイレから帰ってきたんだから、勿論お酒はまだまだ入るわよね?」 「お、おうっ!まだまだいけるぜっ!」 「よーし、それじゃあコレ行きましょうっ。」 どんっ。 「「げ…。」」 俺とハチの声が揃う。 何故なら、準がいつの間にか握っていたのは……スピリタス。 アルコール度96%の、それはぶっちゃけ純アルコールじゃないの?って感じの素敵飲み物。 「さあハチ、とりあえず駆けつけ一気飲み!」 「ま、待て!それは絶対無茶だっっつーの!」 「……仕方無いわね。  それじゃ、このコップでいいわ。」 「…いや、準。  そのコップでも、正直……。」 「……雄真は黙ってて。」 じろり。 「ういっす。」 …どうやら、ハチをとっとと潰すつもりらしい。 「さあハチ、これなら大丈夫でしょ!」 「お、おう……それじゃあ高溝八輔、行かせて貰います!」 「逝っちゃえ逝っちゃえ♪」 「準…字が違うぞ。」 ごくっ。 「……。」 いきなり一口でコップの半分程を飲み干したハチ。 そしてそのまま動きが止まる。 「……あー、ハチ?」 「………。」 ばたんっ。 「やっぱり倒れたか…。」 見事にコタツの台に突っ伏すハチ。 こりゃあ…再起動は無理か? 「……はい。いつも通りの場所に送ってください。お待ちしてます。」 ぴっ。 「後数分で、タクシーが来るって。」 「…恐ろしい奴だ。」 「うーん…あたし、ラブアンドピースが信条だけど……ひとつだけ例外があるの。」 「そうなのか?」 「うん。  ……雄真とのラブラブタイムを邪魔する人には、容赦無いの。」 「…さいですか。」 そうこうしている間にタクシーが到着。 「それじゃ、よろしくお願いしまーす。」 死んだままのハチを乗せ、タクシーは夜道を走っていった。 「さて、と……それじゃ、二人きりで飲みなおすか?」 「…えっと、その前に……お風呂に入っていい?」 「……ああ、そう言えばそうだな。」 にやり、と準に笑う。 「今、準のスカートの中は…。」 「きゃー!それ以上言っちゃ駄目ーっ!!」 どすっ。 「げふぅっ!?」 さっきより重い拳が、今度は鳩尾に突き刺さった。 「……それ以上言ったら今度は容赦しないわよ、雄真。」 「これは容赦してたっつーのかよっ…。」 「いいから、雄真は居間で待ってて。」 そう言って、準は家の中に戻ろうとする。 だけど、その途中でくるり、と俺の方に振り返り。 「………それとも、一緒にお風呂……入る?」 「………あー。  そう言えば、俺も汚れてるしな。」 「…目がえっちよ、雄真。」 「…じゃあ、準は全然期待してないんだな?」 「……いいから、早く入りましょっ。」 「……はいはい。」 真っ赤な顔をする準に笑みを浮かべつつ、俺は再び、準の家に入っていくのだった。