物語の前に。 「えーと…。  『このお話は、エロゲネタ板2007年も渡良瀬準を愛でるスレの>>187、   そして>>606を元ネタとして作成されています。   目の前に美味しそうなネタをぶら下げてくれたお二人に感謝と、   ほんのちょっぴりの恨みや妬みを。』  ……だって。」 「……睡眠不足確定だからって、そんな事書かんでも。」 「はい、完成よ。どう、雄真?」 カツラをブラシで整えた準が、嬉しそうに微笑む。 「こ、これが……俺?」 俺の言葉と同時に、目の前の鏡に映った美少女も驚く。 鏡に映るは準と、そして……清楚可憐な美少女。 「嘘…嘘だ……。」 「残念ながらホント。綺麗よ、雄真。」 俺こと小日向雄真は、呆然としながら、目の前に居る美少女……女装した自分を見つめていた。 ――事の始まりは、些細な言葉から始まった。 「…うーん。」 「なんだ?」 俺の長袖を捲り、肌を見つめ唸る準。 「雄真って、結構肌がすべすべなのよね…。」 「はぁ?」 いきなり何を言い出すのか、こいつは。 「無駄毛も無いし……。」 「…はぁ。」 そう言われてみると、そんな気もする。 「……ね、雄真。ちょっとだけ、お願いがあるんだけど。」 きゅぴーん。 その言葉と同時に、怪しく輝く準の瞳。 …なんか、凄く嫌な予感がする。 「大丈夫、別に痛かったりとかしないから。」 「だから、人の心を読むなと。  …つーか、一体俺に何をしろって言うつもりなんだ?」 準の無茶には、もう随分と振り回されてきた。 けれど……次の言葉を聞いた途端。 「えっと……雄真、少しだけ女装してみたり……なんて気は無い?」 「…………は?」 ――俺の思考は、完全に停止した。 「ほら、やっぱり似合う。  …でも、何処かで見たような気がするのは気のせいかしら?」 「……先生、か。」 げっそりとしながらも、何とかそう言葉を返す。 「あ、ホントだ。  やっぱり先生と血が繋がってるだけはあるわね。」 「こんな方法で確かめたくは無かった……。」 と言うか、こんな姿は見せられないし、見られたくない。 ……あの先生の事だ。最初はビックリするだろうけど……最終的には慣れて。 『ほら雄真くん、この服なんてどうかしら?』 『駄目よ鈴莉ちゃん、雄真くんにはこっちの服が似合うのっ。』 『うふふ…雄真さん、次はこれをお願いしますね?』 「……簡単に想像できるのが嫌だ。  って言うか『かーさんず・改』勢ぞろいかよ……。」 「え?雄真、何か言った?」 「んにゃ、気にするな。ちょっと嫌な想像をしちまっただけだから。  ……で、そろそろこの女装を解いてもいいか?」 「………。」 「……おい。」 俺の問いに、何故か押し黙る準。 ……嫌な予感、再び。 「ねえ、雄真……。」 「駄目だっ!何を言われるか知らんが、俺の勘が却下しろと言っている!」 「だって…このままだと中途半端じゃないっ。」 「…何が?」 「自分の格好を見てみなさいよ、雄真。」 準に言われるがまま、自分の服装を見る。 ……無難な格好をしていると思うのだが、何か問題でもあるんだろうか? 「ね?」 「いや…ね?って言われても…さっぱり分からないんだけど。」 「……はぁ。」 何故か思いっきりため息を付く準。 「あのね……折角女装してるのに、そんな男っぽい格好してたら台無しでしょ!」 「無茶苦茶言うなっ!」 「あたしのを貸してあげたいけど、流石に体型が違いすぎるから無理だし…。」 「……つまりは?」 …おぼろげながらに次の台詞の想像はついた。 でも、出来れば間違いであって欲しい。つーか間違えろ。 「…今から、雄真の服を買いに行きたいかなー……なんて。」 「………。」 ……ビンゴだったか。 「うぅっ……。」 そわそわ。 「……くぅっ。」 もじもじ。 「…落ち着きなさいよ、雄真。」 「これが落ち着けるかっ!」 準の言葉に声を荒げかけ、慌てて声を潜める。 「…どうして、どーして女装したまんま買い物行かなきゃ駄目なんだよっ。」 「だって…似合いそうな服があっても、男の格好のまんまじゃ試着出来ないでしょ?」 「って言うか試着しろと!?その場でか!?」 「大丈夫、雄真に似合う服をバッチリ探してあげるから!」 「……全然嬉しくない。」 本当ならすぐにでも逃げたい。逃げたいんだけど……。 「逃げちゃ駄目よ、雄真。」 ぎゅ。 しっかりと俺の腕を抱きしめる準。 そして。 ずりずりずり。 「うがぁぁぁ、はーなーせーっ!?」 「うふふふふ…いっぱい買いましょうね、ユウ♪」 「……ゆ、ユウ?」 「うん、ユウ。  …雄真って呼ぶと、色々とマズイでしょ?」 「呼び方の問題じゃ無いっつーの!」 「そう?でも……大人しくしとかないとマズイかもしれないわよ?」 くいくい。 準の指差す先を見ると。 「……げ。」 「る〜るる〜、今日はお買い得で良かったわ〜。」 買い物袋をぶら下げたかーさんの姿が。 「や、やばい……準、今すぐ道を変えようっ。」 「そう言われても、暫くわき道なんて無いし……ちょっと遅かったみたい。」 「あ、準ちゃんじゃな〜い。」 「ああ、こっち来た……。」 てくてくと、俺たちの元にやって来るかーさん。 「お久しぶりです、音羽さん。」 「もう、最近ご無沙汰なんだから。たまにはわたしのお家にも来て〜。」 「あはは…それじゃ今度お邪魔しますね。」 「うんうん、待ってるわ〜。  ………あら?」 じーっ。 「……んー。」 「……っ。」 かーさんが俺をじっと見つめる。 ……き、気づかれたかっ? 「…どっかで見た事あると思ったんだけど、気のせいかしら。」 かーさんの問いに、首を横に振って答える。 「あ、ご紹介が遅れました。  彼女はユウちゃんって言って、あたしの…モデル関係の後輩なんです。」 「あ、そうなんだ〜。はじめまして、ユウちゃん。  わたしは小日向音羽。よろしくね〜。」 にこにこと微笑みながら、手を差し出してくるかーさん。 俺は会釈を返しながら、そっと手を握る。 「………んー。」 じーっ。 「…音羽さん?どうかしましたか?」 「ううん、なんでも無いの。」 準の問いにかーさんは笑顔で答え、手を離す。 「……そう言えば準ちゃん。」 「はい?」 「うちの雄真くん、確か準ちゃんの家に遊びに行った筈なんだけど……。」 びくっ。 「そ、それは……。」 珍しく動揺して言葉が止まる準。 かーさん、俺は今此処に居ます……と、言う訳にもいかないし。 「えーと……その、今日は買い物に行く事になって、雄真は先に待ち合わせ場所で待ってもらってるんです。  あたしはユウちゃんを迎えに行ってから合流って事で。」 「あ、そうなんだ。ふーん。」 咄嗟の言い訳に、かーさんが頷く。 …よし。何とか誤魔化せたっぽい。 「それじゃ、あまり立ち話もマズイわね。」 「すみません、音羽さん。本当はもっとゆっくりお話したかったんですけど……。」 「いいのいいの、気にしないで。  それに、今度わたしの家でゆっくりとお話しましょ♪」 「はいっ。」 そのまま、かーさんは家へ帰り――。 「あ、そうそう。」 くるり。 「ユウちゃん、雄真くん…わたしの息子なんだけど、気をつけてね?」 「……?」 かーさんの言葉の意味が分からず、俺は小首を傾げる。 …俺、何かしたっけ? 「雄真くん……真面目で純粋なのはいいんだけど、困った事に  無自覚に女の子を片っ端から口説いちゃうガールハンターだから。」 「!?」 「……あー。それは言えてるかもしれませんね。」 かーさんの台詞に、俺の方を半目で睨みながら頷く準。 …ちょ、ちょっと待て。 「雄真ってば誰にでも優しい癖に、時々相手の感情とか気持ちとかをかんっぺきに  気づかない時がありますよねー。」 「そうなのよねー。  すももちゃんがあれだけ雄真くんにアタックしてるのに、当の本人はこれっぽっちも  気づいてないのよねー。……ううっ、可哀想なすももちゃんっ。」 「すももちゃんだけじゃありませんよ音羽さん。  春姫ちゃんも杏璃ちゃんも、あと小雪さんも伊吹ちゃんも沙耶ちゃんもですから。  ……あそこまで行くと、ワザとじゃ無いかって思っちゃいますけどね。」 「……ほんっとうに気づいてないのよねー。」 「……本当に気づいてないんですよね……。」 はぁ、と同時に深くため息をつくかーさんと準。 ……こ、こいつらはっ。 「…あら、どうしたのユウちゃん?  さっきからピクピクと震えてるけど……。」 「あ、きっと雄真の話を聞いて怒ってるんですよ。  ……そうよね、ユウちゃん?」 「っ……。」 小さく頷く。……って言うか頷かざるを得ない。 「って、また長く話し込んじゃった。駄目ねー。  それじゃあね、準ちゃん、ユウちゃん♪」 「それじゃ、またー♪」 ……今度こそ、かーさんは家に帰っていった。 「……なあ。」 「音羽さんの言葉は間違ってないわよ、雄真?」 「…俺、そんなつもりは無いんだけど……。」 「ワザとじゃ無いから余計にみんなが雄真に惹かれちゃうんでしょ。  更に性質が悪いわよ。」 「つーか……すももの奴に、そんなにアタックされてたかなぁ……。」 「…すももちゃんが家でどんな事してきてるか、試しに言ってみたら?」 「うーん……たまにお風呂で背中を流してくれたり、すももコロッケを『あーん』して  食べさせてくれたり食べさせたり、後は眠れないからって一緒に寝たりぐらいか?」 「……………。」 「まあ、普通の仲のいい兄妹なら然程驚く程の事でも……って。  …どーして拳を握り締めてますか、準さん?」 「………雄真の、馬鹿ぁっ!!!」 ごしゃっ。 「いらっしゃいま……あら、渡良瀬さん。」 「いらっしゃいましたー♪  今日はあたしの後輩も連れてきたんですけど…。」 此処は、準が行きつけのお店。 私服、モデル用の服のどちらも、大抵は此処の店で買っているのだとか。 店員さんとも顔なじみらしく、準は笑顔で談笑している。 ……そして。 「…あぁ……。」 俺は、目の前に広がる見慣れないモノ……女性用下着の前で、激しく凹んでいた。 何故なら。 ――回想開始―― 「……十二分にアタックされてるじゃないの、雄真っ!!  って言うか、『あーん』したりされたりって、恋人同士を通り越してバカップルよっ!!」 「ぐふっ……ぼ、ボディががら空きだった…。」 「もう、信じられない!  …この分じゃ、他のみんなとも色々してるんじゃ無いでしょうね!?」 「そ、そんな事言われても……多分してない、としか言えない……。」 「っ……知らないっ。」 ぷいっ。 「わ、悪かった!正直良く分かってないけど、多分俺が悪い……。」 「……。」 ぎろり。 「…いえ、全面的に俺が悪いです。はい。」 「……ま、いいわ。許してあげる。  ただし――。」 ――回想終了―― 「…着る物だけならいざ知らず、下着までちゃんと女性用にしろってのは……。」 いや、確かに準は女性用の下着を身に着けているんだから、着れない事は無いんだろう。多分。 だけど……。 「や、やっぱり今から土下座でもして――。」 「…土下座でもしてどうするの、雄真?」 「そりゃ勿論、せめて女性用下着…だけ……は……。」 何故か背後から聞こえる声。 ……嫌だけど、振り向かざるを得ない。 「残念ね。雄真がきっと選べないと思ったから、こっちで似合いそうなのを一式揃えちゃった♪」 物凄くいい笑みを浮かべながら、手に持ったものを俺に見せ付ける準。 「最初から露出の高いのだと雄真も大変だと思ったから、今回はロングスカートをチョイスしてみたけど…どう?」 たっぷりのフリルが付いた、ピンクのロングスカート。 そして上着も同じ様にピンクのフリル付き。 両方ともゆったりとしていて…確かにこれなら骨格とかが隠れて、俺が男だってのは更に分かりにくくなると思う。 ……って、俺も何で冷静に分析してるかな。 「どう?とか聞くな。  つーか、今回はって何だ、今回はって!?」 「……何か変な事言ったかしら?」 「次回は無いっ!!」 「まーまー、それは後でおいおいじっくりと…ね?  でもって、下着なんだけど……じゃーん。」 掛け声と共に差し出されたのは、至って普通のピンクのショーツ。 恐らくスカートや上着に合わせたんだろうけど。 「ほら、普通でしょ?」 「……だから、そう言う問題じゃ無いと……。」 「そう言われても……実はもう買っちゃったし♪」 「なっ!?」 ぴらぴらと準の手で振られているのは、レシート。 「って、待てっ。」 「あんっ。」 一瞬見えた値段に、慌てて準の手からレシートをひったくる。 ……えーと。 「数字、どれも5桁なんだが……?」 「あはは……値段なんて見ずに選んじゃったら、そんな値段だったのよねー。」 「……。」 じろり。 「…怒ってる?」 「……結構な。」 「だって……雄真とお揃いだなって思ったら、嬉しくって……。」 「うっ…。」 しょげてしまう準。 ……確かに、一緒に女装でお揃いって言われれば、そうなんだけど。 「……駄目?」 じーっ。 俺の機嫌を伺う様に、上目遣いで俺を見つめる。 ……はぁ。 「…分割払いでちゃんと返すからな、金。」 「……え?」 「買っちゃったんだろ?  …なら、今更返す訳にもいかないだろうが。」 自分でも甘いとは思う。思うんだけど…。 悔しいけど、準にお願いされたら……断れない。 「…うんっ♪」 満面の笑みを浮かべ、準が俺に擦り寄る。 ……ま、この笑みを見れたって事でよしとするか。 「さて…それじゃ、目的の物も買った事だし、そろそろ……。」 「…って、逃がさないわよ。」 がしっ。 「……やっぱりか。」 「勿論。うふふ……楽しみね、ユウ♪」 「全然楽しみじゃ無い……。」 「さーて……お楽しみの試着たーいむ♪」 「って、どうしてお前も試着室に居るんだよっ。」 試着用個室。…と言っても、もう服自体は買ってしまってる訳だが。 其処には、何故か準まで入っていた。 「だって、一番にちゃんと着飾ったユウの姿を見たいんだもの。」 「…むむ。」 「それに……一人で服、着れる?」 「……た、多分。」 「……本当に?」 「………お手伝いをお願いします。」 「はい、よろしい♪  …それじゃ、とりあえず下着以外全部脱いで。」 「……了解。」 準の指示通り、トランクスを除いて全部脱ぐ。 「脱いだぞ。後は好きにしてくれ……。」 「うふふ…言われなくてもそのつもりよ、ユウ。」 てきぱきと動き、俺を着飾っていく準。 俺はただ、鏡を通して自分が服を着ていくのを見ているだけの状態。 ……そして。 「これでとりあえずは大丈夫かしら?」 「……うわぁ。」 鏡に映っているのは、ばっちり着飾った何処から見てもオンナノコが二人。 一人が準だから、当然、もう一人は……。 「…うん。  やっぱりあたしが選んだだけあって、バッチリ似合ってる。」 「……認めたくは無いが、確かに。」 …とても自分とは思えない。いや、本当に。 「そうだ。今日はこのまま、一日デートしちゃいましょ。」 「え”。」 「駄目でしょ、ユウ。  今はオンナノコなんだから、そんな変な声出さないの。」 きゅ。 俺の胸に飛び込んでくる準。 「ね、一生のお願いっ。」 「だ、駄目だっ。それはお断りするぞっ。」 「…どうしても?」 「どうしてもっ。」 「……本当に、どうしても?」 なでなで。 「…お、おい?」 準の手が、俺の頬を撫でる。 そしてもう一方の手は……スカートの中へ。 「ねー、ゆうまぁ。  ……お・ね・が・い。」 ちゅっ。 首筋を軽く噛みながら、キスをする準。 「こ、こらっ。  そんな事をしてもっ…。」 「…しても、なあに?」 トランクスの上から、準の手がゆっくりと俺のモノを撫で回す。 「…あは。もう大きくなってきたわ、雄真の。  ……ううん、今はユウって……オンナノコ、だったわね。」 「ちょ、おいっ…。」 「…駄目よ、ユウ。  オンナノコなのに……ココを、こんなに……おっきくさせちゃ。」 くすり、と妖艶な笑みを浮かべる準。 …その笑みに、俺は魅入られ、動けなくなってしまう。 「それに、トランクスだなんて……オンナノコなんだから、ちゃんとショーツを着けなくちゃ…ね?」 「い、いや…準?」 「……お姉様、でしょ?」 「…え?」 「あたしは、ユウの先輩なんだから……あたしの事は、お姉様って呼ばなくちゃ。  ……分かった?」 ぎゅっ。 「わ、分かりましたお姉様っ!」 俺のモノを強めに握り締められては、そう応えるしかない。 「…ん、よろしい。  それじゃ…ちゃんとお姉様の言う事を聞けたご褒美、あげないといけないわね?」 準の手が、俺のモノから離れる。 「あたしが、ショーツを着させてあげるから……ユウ、スカートの裾を持ち上げなさい。」 「…え。」 「え、じゃ無いでしょう。  ……ほら、早くしなさいっ。」 「は、はいっ。」 半ば反射的に、俺は自分のスカートの裾を握る。 「こ、こうですか…?」 「…握ってるだけじゃ駄目でしょ。  ちゃんと持ち上げないと。」 「ううっ…。」 するする。 「こ、これぐらいですか…?」 「……ユウ。  あたしにスカートを持ち上げさせた時、どのぐらいまでやったかしら?」 「……うううっ。」 するするするする。 完全にトランクスが見えるように、スカートの裾をめくる。 「うん、良く出来ました。  偉いわね……ユウ。」 ちゅっ。ちゅっ。 「あぅっ…。」 俺のモノに、トランクスの上からキスを繰り返す準。 その度に、俺のモノは反応して。 「うふふ…キスする度に、びくんって動いて……もっと大きくなっちゃった。  鏡に映ってるのは…オンナノコなのに、ね?」 「……っ。」 鏡を見ると、其処には…スカートをめくって快楽に耐えるオンナノコと、跪いて奉仕をするオンナノコ。 ……まずい。 「……自分がだんだん、分からなくなってきちゃった?」 「っ!?」 「くすくす…図星でしょ。」 「そ、そんな事はっ……。」 「大丈夫。誰にも言ったりしないから。  だから……今だけは、オンナノコになってみて。」 俺を見つめ、にっこりと微笑む準。 「…ね、ユウ。」 「…あ、ぅ……。」 「………ね?」 くすり。 再び俺に向けられる、魔性の笑み。 ……それに、俺は抗う事が出来ず。 「………はい、お姉様。」 ――自ら、堕ちる道を選んでしまった。 「うん、よろしい。  ……それじゃ、脱がせてあげるわね。」 「…はい。」 トランクスに手が掛けられ、ゆっくりと脱がされていく。 そして。 ぱさり。 「……もう。こんなに大きくして。」 トランクスが床に落ち…大きくなった俺のモノが、準の目の前に。 きゅ。 「んぅっ…。」 「…気持ちいいの?」 準の手が、俺のモノをゆっくりと扱く。 「……オンナノコなのに、ココを弄くられて……気持ちよくなっちゃってるの、ユウ?」 「…はっ…くぅっ…はいっ……。」 「…先走りまで溢れさせて……困ったオンナノコなんだから。  これじゃ、ショーツが着けられないわ。」 にちゃにちゃと音をさせながら、扱くスピードを上げていく。 「あ、ああっ……。」 「…これは、一度すっきりさせちゃわないと…駄目みたいね?」 「そ、それは……。」 「それとも……今ココで止めて、大丈夫なのかしら?」 準の言葉と同時に、手の動きが止まる。 「うう……。」 「……どうしたの、ユウ?そわそわしちゃって……。」 くすくすと笑う準。 「…あたしの指先、ユウの先走りでベトベトになっちゃた。」 「あ……ご、ごめんなさい、お姉様。」 「綺麗にしなくちゃ……あむっ。」 そう言って、準が自分の指先を咥える。 「あ、あっ……。」 「…んふっ……ちゅ、ちゅぱっ……。」 俺を見つめながら、わざと俺に見せ付けるようにゆっくりと指先に舌を絡め、舐め、しゃぶる。 「…じゅ、準っ……。」 「……駄目。やり直し。  あたしの事は…なんて呼ぶんだったかしら?」 「……お、お姉様っ。」 「なあに、ユウ?  あたしに、何か…お願い事でもあるの?」 「っ……。」 分かってる筈だ、準は。俺がどうして欲しいのかを。 それなのに……。 「うん、焦らしてるの。」 「……人の心を読まないでいただけますか、お姉様。」 「うふふ……大好きなユウの事だもの。すぐに分かっちゃうわ。  …でも、駄目。ちゃんと口に出して、あたしにお願いしてね。  勿論……オンナノコのユウとして、よ?」 「そんな事言われても…。」 「……いつもあたしに言わせてる台詞を言えばいいだけじゃない。  簡単でしょ?」 「言わせてる……。」 考える。 ………考えた。 「……マジ?」 「うん。だって…ユウはオンナノコなんだから。  何時も雄真があたしにさせるみたいに……えっちなおねだり、して?」 にちゃっ。 「くぅっ…。」 「ほら…早く気持ちよくなりたいんでしょ?  いっぱい…出したいんでしょ?」 準の手がゆっくりと俺のモノを扱き、俺の心を追い詰めていく。 「はぅ……うぁっ……。」 「……ちゃんとおねだり出来たら、ちゃんといかせてあげるから。  あたしのお口の中で、いっぱい……気持ちよくしてあげる。」 「う、くぅ…。」 「…ユウの精液、全部……飲み干してあげるから。  だから……精一杯の、えっちなおねだり……あたしに聞かせて。」 にちゃっ、にちゃっ、にちゃっ。 「わ、分かった!言う、言いますっ……。」 「……ん。」 準の手が動きを止める。 「…それじゃどうぞ、ユウ。」 「……俺は」 「はい、駄目。」 にちゃにちゃにちゃっ。 「うあっ!?」 激しく扱かれ、言葉が途切れる。 「…オンナノコは、俺なんて言わないの。  まあ…中にはボクとか俺とか言う娘も居るけど……今回は駄目。  やり直しっ。」 「……うぅ。」 じろり、と準に睨まれながら、再び言葉を口にする。 「わ、私は……お……おち……。」 「おち……なあに?」 くすり、と笑みを浮かべる準。 「っ…お、おちんちんを……大きくしてる、はしたないオンナノコですっ。」 「うん。こんなに大きくして、びくびくさせて……えっちなオンナノコよね?」 薄く笑いながら、俺のモノの先っぽを、準の指がゆっくりと撫で回す。 「んっ……あぅっ…。」 「また、こんなに透明な液をいっぱい溢れさせて……本当にはしたないんだから。」 「……はいっ。  わ、私は……じゅんっ…お姉様、に……弄くられて、悦んでる……えっちな、オンナノコ…です。」 恥ずかしい。 頭がくらくらして…何を考えて、何を喋っているのかが……段々分からなくなる。 「……っ!」 ふと鏡を見ると……顔を真っ赤に染め、スカートを持ち上げたまま身体を震わせるオンナノコの姿が。 「…凄くえっちな顔、してるでしょ?」 「っ!?」 「いつものあたしみたいに、瞳を潤ませて……欲情してる、えっちな顔よ、ユウ。」 「う、ぁっ……。」 顔を隠したい。だけどそれは出来ない。 顔を背けたい。だがそれは許されない。 今の俺に出来る事。それは……。 「…もう少しよ、ユウ。  最後までちゃんと言えたら……可愛がってあげるから。」 「は、はいっ…。」 ……淫らなおねだりを、最後まで言い切る事だけ。 「お、お姉様っ……。」 「…なあに?」 「このままだと……お姉様に買ってもらったショーツが、穿けません。」 「どうして?」 「っ……わ、私の……おちんちんが、……勃起してる、からっ。」 「……。」 俺を見上げる準の瞳。 その瞳が、言葉の続きを催促する。 「だ、だからっ……。」 「…だから?」 「……わ、私のおちんちんを……お姉様に鎮めて欲しい、ですっ。」 ……言い切った。やっと、これで…。 「…どんな風に鎮めて欲しいのか、それじゃ分からないわよねー。」 「なっ!?」 「……いつもは言わせてるでしょ?」 じーっ。 半目で睨まれる。 「だ、だけどっ……。」 「頑張って、ユウ。  ……耐えてるのは、ユウだけじゃ無いんだから。」 「……え?」 「本当は、あたしだって……すぐにでも気持ちよくしてあげたい。鎮めてあげたい。  …雄真の精液が欲しいの。ごっくん、って飲んであげたいの。」 「……っ。」 潤んだ準の瞳が、俺を切なげに見つめる。 「でも…ちゃんと最後まで言えないと駄目。してあげられない。  だから……お願い、ユウ。最後まで言って。……あたしに、ちゃんとおねだりして。」 「……はい。」 ぐちゃぐちゃになった頭で、何とか言葉を考える。 「どんな風に鎮めて欲しいの、ユウ?」 「お、お姉様の…手で、扱いて貰ったり。」 「…扱いて貰ったり?」 にちゃっ。 言葉と同時に、準の手が動き出す。 「お、お尻を……触られたりっ。」 「…うん。」 もう片方の手が、ゆっくりと俺の腰に回される。 「……こんな感じ?」 「あっ……は、はいっ。」 「…それだけ?他にして欲しい事……あるでしょ、ユウっ。」 俺に見せるように、口を半開きにする準。 その口内で、舌がゆっくりと蠢く。 「……お、お姉様の、口でっ……。」 「…口で?どうしたらいいの?」 「……咥えてくださいっ。しゃぶって欲しいですっ。  そして、いっぱい、いっぱい……お姉様の口を犯して、精液を無理やり飲ませたいですっ!」 「………よく言えました、ユウ。  それじゃ……ご褒美、あげるっ。」 そう言うと、準は大きく口を開け、俺のモノを咥え込み――。 「……ふふ。」 「…なんだよ。」 アーケード街。 俺と準は、ゆっくりとウィンドウショッピングを楽しんでいた。 ……勿論、俺は女装したまんまで。 「んー、別に?」 「言えよ。怒ったりしないから。」 「試着室のユウ、可愛かったなー、って。」 「……前言撤回。やっぱり怒る。」 「まあまあ、怒らないでよ。  ……嫌じゃ無かったんでしょ?」 「…ノーコメント。」 「……癖になったりして?」 「……ノーコメントだっ。」 そう言って、顔を背ける。 「くすくす…顔、真っ赤よ。」 「五月蝿い。…もう絶対に女装なんてするもんかっ。」 「……あー。そうね、そうだといいわね…。」 「…?」 何故か困った顔をする準。 …なんだ?どうかしたのだろうか? ………その意味は、それから数日後に判明した。 「ねーねー、雄真くん。」 「ん?」 昼休み、カフェテリア『Oasis』。 みんなで食事を取っていたところに、かーさんがやってきた。 「見てみて、これ。似合うと思わない?」 かーさんが持ってきたのは、女性用の服が載った冊子。 その中の一つに、かーさんが書いたのか赤い丸が付いていた。 「似合うって……誰に?」 「やーね、雄真くんってば。  ………ユウちゃんに決まってるじゃなーい♪」 「っ!?」 びくり、と身体を震わせる俺。 「ユウ、ちゃんって……雄真くん、知り合い?」 「い、いや、俺は全然知らないぞ春姫っ。」 「雄真……すっごい汗出てるわよ。」 「さ、さあ……気のせいじゃ無いか、杏璃?」 ……マズイ。とてつもなくマズイ。 このかーさんの反応。まさか……っ。 「……ご愁傷様、雄真。」 ぽん、と肩を叩く準。 ……マジか。 「お母さん、ユウちゃんって誰ですか?」 「えっとねー…多分すももちゃんのお姉ちゃんかしら?」 「え?ええっ?」 「なんと……すももに姉が居たのか!?  …すももと同じ性格で無いと良いが……。」 「……い、伊吹ちゃん。それって、どう言う意味なのかな?」 「ふえっ!?  い、いや、決して悪い意味では無いのだぞっ!?」 何かまた地雷を踏んだ伊吹とすももは放置するとして。 「……先生、そしてゆずはさん……何故此処に?  そして手に持っているのはナンデスカ?」 「何って、ねえ……ゆずは?」 「……私たちも、ユウさんに似合う服を、と思いまして。」 「あああああ、やっぱりあんたらもかぁっ!?」 思わず頭を抱える俺。 そんなところに。 つんつん。 「あ、あの……小日向様っ。」 何故か顔を真っ赤にしつつも、気合を入れた上条さんが。 「か、上条さん……何かな?」 「その、あのっ……。」 俺の目の前で、すー、はー、と深呼吸をした後。 「……ゆ、ユウさんな雄真さんでも、私……大丈夫ですのでっ!」 「は、はいっ!?」 い、いきなり何を言い始めましたか上条さんっ!? 「…良かったですね、雄真さん?」 きゅぴーん。 「ど、どーしてそんな余計な事を喋るんですか小雪さんっ!?」 「……大丈夫です。私も受け入れられますから。  …一緒に服を買いに行きましょうね、ユウちゃん♪」 「うがあああっ!?」 ……この後、俺が誤解を解く為に非常に大変な目にあった事は、言うまでも無い。 「……へー、あのユウの表情とか台詞は、誤解、ねぇ……。」 「……五月蝿い黙れっ!」