・鉄仮面さんルートを作ってみた。 「…はぁ…。」 「はろ〜♪」 「うわっ!?て、鉄仮面さん!?  どっから出てきてるんですか!」 「気にしない気にしない。  で、どーしたのかなー?」 「い、いえ、ちょっとまぁ…考え事を。」 「ふっふっふ、ズバリ、恋の悩みでしょ。」 「…うっ。」 「やっぱり図星なんだー。このこの、若いって良いわねー。」 「いや、ショルダーチャージ止めてくださいよ。痛いし。」 「…んで、お相手は誰なのかなー?」 「えっと、その…。」 「ん?」 「…鉄仮面さんの友達の、ルビィさんなんですよ。」 「……え?…そりゃ…困ったわねー。」 「え?何で鉄仮面さんが困るんですか?」 「いえいえ何でも無いわよー。  …んで、何で好きになっちゃったの?」 「………一目惚れってやつですかね。  気がついたら好きになってたんで、何でって言われても…。」 「…そっかー。一目惚れか…。」 「あ…あの、鉄仮面さんにお願いがあるんですけど…。」 「えーと、もしかして…。」 「…はい。ルビィさんに何とかして逢えないかと思ってるんですけど…。」 「…あー、その、それは…うーん…。」 「……あ、無理そうなら別にいいんです。  良く考えたら、ルビィさんの仕事って…そうそう逢えそうに無いし。」 「………出来ない事も無いけど?」 「…え、本当ですか?」 「でも、その分高くつくわよ?」 「…どのぐらいでしょうか。出来れば払える金額に抑えて欲しいんですけど。」 「まっ、失礼ねー。全部金って訳じゃ無いのよー?」 「…で、ではタダで?」 「ぶっぶー。不正解。  正解は、今日の購買部の棚卸作業を手伝ってくださーい。  あ、ちょっと遅くなるかもしれないけど、先生方には私から伝えておくわ。  どうかな?」 「了解です。それでルビィさんに逢わせてもらえるなら、安いもんですよ。」 「…これで、全部っすか…。」 「はーい、それで全部しゅーりょー。」 「……ぐはぁ。疲れた…。」 「まー、全アイテムだからねー。倉庫の中も全部だし。」 「…鉄仮面さん、最初倉庫も全部なんて言って無かったですよね…?」 「だって、聞かれなかったんだもの。」 「……ま、いいや。  ふぃー、疲れた。流石に汗だくだぁ…。」 「お疲れ様ー。あ、ジュース有るけどいる?」 「あ、いただきます。  …ふぃー、生き返るー。」 「うーん…流石に私も暑くなってきたわねー。」 「と言うか…この暑さの中その鎧着て普通に動ける鉄仮面さんは  凄いと思いますよ。本当に。」 「まー、コレぐらい出来ないと困っちゃうからね。」 「………鉄仮面さん、実は凄い冒険者とかだったりしませんよね?  コレぐらい出来ないと困るってどんな仕事してたんですか。」 「………………。」 「…えーと、鉄仮面さん?」 「ユウキ君、ちょっと後ろを向いてくれるかなー?」 「え、な、何でですか?」 「いーから、とっとと後ろを向く。早く。ハリィ。」 「…りょ、了解です。」 かしゃーん。 かしゃーん。 「んー、久しぶりに脱ぐと涼しいわねー。」 「何ですとっ!?」 ひゅんっ。 ざくっ。 「言う事聞けない悪い子はナイフでちょっぴり刺しちゃうぞー。」 「…それ、ちょっぴりじゃ無くて確実に刺さりますから。」 かしゃーん。 かしゃーん。 「…ふー、武装解除かんりょー。  あー、涼しいー。」 「…えーと、俺はこのままですか?  鉄仮面さんの正体って、結構気になるんですが。」 「…よっ。」 じゃきん。 「…えーと、この喉元の短剣は一体何でしょうか?」 「振り向いたら即座に切るわよー。」 「うひぃぃぃぃっ!?  ………あれ、そう言えば、こんなの何処かで…。」 『捕まえたぞ、ルビィ・スタインハート!』 『それ以上近づくと、この少年の命は無いわよー。』 「………ええええええっ!?」 「…んー、その様子だと、ようやく気づいたかな?」 「ま、まさか、鉄仮面さんの正体って…ルビィさん!?」 「どんどんどん、正解でーす。おめでとー。」 ぎゅっ。 「る、るるるルビィさん!?一体何をっ!?」 「ん?何って、ユウキ君に抱きついてるのよ?」 「は、はいっ!?」 「でも、一目惚れとは嬉しい事言ってくれるじゃないの、  このこのー。」 「鉄仮面…いやルビィさん、短剣でぐりぐりするの  止めて下さいよっ!?」 「…あ、ごめんねー。すっかり忘れてた。」 「…間違いない、この無茶苦茶なペース、間違い無く  ルビィさんだ。」 「……それは聞き捨てならないわねー。」 ごごごごごごごごごご。 「ひぃっ!?」 「誰が、無茶苦茶なのかなー?」 「い、いえ、誰でもありませんっ!?」 「…そ、ならおっけー。」 「…で、その、ルビィさん…。  お、俺…。」 「ストップ。それ以上は言っちゃ駄目よ、ユウキ君。」 「…何故ですか?」 「私は盗賊。まっとうな職業じゃ無いわ。  その私と付き合うって事は…貴方も、大変な目に合うって事。  …それだけの覚悟は出来てる?」 「………。」 「…ね、困るでしょう?  だから、それ以上は言っちゃ駄目。  …あ、大丈夫よ。ちゃんと今日の記憶は消してあげるから。  ちゃんとその為の便利な薬も」 きゅっ。 「……ルビィさん。」 「ゆ、ユウキ君?」 「…覚悟は出来てます。恐らく、冒険者として生活するのも  難しいと思います。  ……でも、それでも、ルビィさんと一緒に居たい。  ルビィさんの為になりたい。  …今は逆に役立たずかも知れないけど、頑張ってみせる。  ………それじゃ、駄目かな。」 「………死ぬかもしれないわよ?」 「…はい。」 「………捕まったら、即銃殺刑とか。」 「…はい。」 「………………その気持ち、変えるつもりは無いの?今ならまだ  間に合うわよ。」 「…なら、何でルビィさんは…正体を教えてくれたんですか?」 「…え?」 「記憶が消せる薬があるなら、それを使って、あの日の記憶を  消してしまえば良かったのに。」 「…あ、それは…。」 「……変えません。絶対に、この気持ちは変わりません。」 「…ユウキ君…。」 「………少しでも、ほんの僅かでも、俺がルビィさんを  護ってあげられるなら…俺は、ルビィさんが好きだって  思い続けます。」 「………参ったわね。おねーさん、間違ったかな。  最初から、とっとと記憶を消してあげれば良かった。  …そんなに覚悟が決まってるなら、変わらないね。  ユウキ君なら。」 「……ルビィさん…。」 「…ま、とりあえずは気配を消す事から覚えようね。」 「……はいっ!」 「と、ゆー訳で。」 「……って、何で脱ぎ始めてるんですかルビィさんっ!?」 「何でって、修行よ修行。  ほら、こんな所でエッチな事しても、ばれなければ  気配を消せてるって事でしょ?」 「あ、い、ええっ!?」 「ここで大丈夫なら購買部、その次は空き教室、最後は  学園室が目標よー。」 「は、はぁっ!?」 「と、言う訳で。  ………いらっしゃい、ユウキ君?」 「よぉ、サワタリ。」 「うをっ!?  …なんだ、ユウキか。びっくりさせるなよ。」 「悪い悪い。  …ちょっとびっくりさせようと思ってさ。」 「全然気配感じないから、びっくりしちまったぜ。  …って、ちょっと待てよ。  忍者が他人の気配に気づかないのは…駄目なんじゃねーか?  …なぁ、ユウキ………ってもう居ないし!?」 「…んっ…ふぅっ…。」 「鉄仮面さーん。」 「…あ、いらっしゃーい。何か…くっ、御用かしら?」 「えっと、癒し爆弾とイシャイラズを。」 「はーい、これねー。」 「ありがとうございます。」 「はいはい、気をつけて…ひゃっ!?」 「…鉄仮面さん?」 「あ、何でもないのよー。気をつけて行って来てねー。」 「はーい。」 「…いいんですかルビィさん?あんな声出して。」 「そ、それはユウキ君が…あんなに動かすからでしょ。」 「…気配は消してると思いますよ?」 「……どんどんイジワルになるわね、ユウキ君は。」 「………それだけ俺が真剣だって事ですよ。」 「…ウソツキ。単に苛めたいだけじゃないの?」 「……そりゃ、世にも有名な怪盗『ルビィ・スタインハート』が  俺に可愛い声を聞かせくれると思うと…。」 「…んふぅっ!?」 「………ね?ルビィさん?」 「…か、覚悟しなさい。今日の訓練は…厳しいわよ?」 「はい、ルビィさん。…頑張りますよ。  ルビィさんを護れるように…。」 「…ん。大好きよ、ユウキ君。」 「大好きですよ、ルビィさん。」 ・面白そうなので、特訓の内容を一部抜粋して。 「と言う訳で、明日の為に特訓そのいちー。」 「はい、ルビィさんっ。」 「はい、コレ。」 「…カメラですか?」 「そう、カメラ。  これで女子の着替えの最中を写してらっしゃい。」 「…はいっ!?な、なんでですかっ?」 「なんでって…気配を消して、なおかつ目的の行動が  出来るかどうかの訓練よ?」 「いや、だったら別に女子の着替えじゃ無くても、  なんか他のを撮影すればいいんじゃ…。」 「分かってないわねー。  …ユウキ君、女子の着替えって…興奮しない?」 「………。」 じゃきんっ。 「な、なんで短剣突きつけてるんですかっ!?」 「んー、女子の着替え見て興奮してるユウキ君を想像したら  ちょっとイライラしちゃったから。」 「んな無茶苦茶なっ!?」 「ともかく、今から身体測定だから、上手く忍び込んで  写真を取ってらっしゃい。それが今日の課題。」 「…マジっすか…。」 「マジもマジ、大マジ。  さー、頑張ってきてねー。」 「…ういっす…。」 「…ううっ、日頃の訓練の賜物とは言え、こんな技術を盗撮の  為に使う事になろうとは…。  しかし、コレがルビィさんの特訓と言うなら、仕方が無い。  仕方が無いんだ………よし、論理武装完了。」 がやがや。 「…あーあ、身体測定かぁ…太ってないといいけど。」 「あら、リナさんは…結構プロポーション良いと思いますよ?」 「………むー、ボクはあんまり自信ないなぁ…ねぇ、委員長?」 「な、なんでそこで私に振るのよ!?」 (ぶっ!?いきなりリナ達かよっ!?) 「…ん?」 「…どうしたの、ぼたんちゃん?」 「………いえ、気のせいね。  なんか、今気配を感じたんだけど…。」 「気配?」 「ええ。…もしかして、忍び込んでる奴が居るのかもって思った  けれど…気のせいみたいね。」 「それは気にしすぎなのさ。  いくらなんでも、忍び込むのは無理だと思うのさ。」 「…でも、何か引っかかるのよねぇ…。」 (くっ…鈴木、するどいな。  ……と、そんな事より写真を撮らないと…。) 「…んっ…ふぅ。どうもあのインナーは窮屈で…。」 「……うわー、斎香、すっごい胸大きいのさ。」 「ぶふっ!?」 「な、何!?今の声はっ!?」 「…薙原の声だったわね。今のは。」 「……まさか、どこかに隠れてるんじゃ…。」 (…まずい。非常にまずい。  気配を消してるだけだから隠れてるのとは違うけど…。) 「……で、でも、ユウキさんがそんな事をするとは…。」 「いいえ斎香さん。薙原ならやりかねないわ。  …馬鹿2大巨頭だし。」 「ナツミさん、とりあえず部屋の鍵を閉めて。  幸子さんは窓のチェックを。  残りは部屋の探索。」 「りょーかいなのさ、委員長。」 「…うん。」 (くっ…入り口が閉鎖されたかっ!  しかも窓まで監視されると…ど、どーする?) 「……隠れられそうな場所は探したけど、居ないわね…。」 「やっぱり、気のせいだったのでは…?」 「…でも、さっきの声は間違い無くナギーだったのさ。」 「って事は…この部屋の中じゃ無くて、外に居るって事?」 「…でも、この部屋は建物の角だし、3階だから外に居る  のも無理だと思うけど…。」 (…よし。今のうちに、鍵を開けて、そーっと脱出を…。) がらっ。 「あら、まだ終わってなかったのですか?  そろそろ先生方の時間なのですが…。」 「が、学園長…。」 「すみません、ちょっと色々ありまして…。  すぐに終わらせます。」 「お願いします。  シルビアさん、終わり次第職員室の…方、に…。」 (……あれ?  …学園長…こっちを、見てる、ような………。) 「…みなさん。10分程、此処から出て貰えますか?  ええ、10分程。」 「…は?」 「……出なさい。至急、速やかに。」 ごごごごごごごご。 「「「「「「「「「は、はいっ!?」」」」」」」」」 どたどたどたどた。 ぴしゃっ。 (………まさか。) 「…さて、薙原君。」 「………は、はい。」 「何故薙原君が此処に居るのか…きっちりと納得の行く  説明をして貰えるのでしょうね?」 「…えっと…その、何と言いましょうか…。」 「………薙原君?」 「………いや、そのですね………。」 がらがらがら。 「はーい、困った時には即参上。  鉄仮面さんですよー。」 「るび…っ、鉄仮面さん!?」 「はいはーい、ユウキくんのつよーい見方、参上ー。」 「…まさか、鉄仮面さん…貴方の仕業ですか?」 「えーと、はっきり言っちゃうとそうでーす。  ま、修行の一環ですよ、学園長せんせー。」 「修行の一環って…ま、まさか!?」 「はーい、そのま・さ・か、でーす。  ユウキ君は、今怪盗になる為の訓練真っ最中の  ひよっこ怪盗でーす。」 「…って、そんなはっきり言っちゃっていいんですか  鉄仮面さんっ!?」 「だーいじょうぶよユウキ君。学園長先生は私の事、  とーっても知ってるもの。  …ねえ、ベネットちゃん?」 びくっ。 「る、ルビィ先輩っ。その呼び方は止めてくださいと、  何度も言ったじゃないですかっ!!」 「…ルビィ…先輩?」 「そうでーす。このベネットちゃんは、何と私の  後輩なのでーす。」 「え、…えええっ!?  だ、だって、どう見たって学園長の方が…。」 「…私の方が、何ですか?薙原君。」 ごごごごごご。 「…いえ、何でも無いです。はい。」 「……ともかく、今回は見逃す訳にはいきません。  薙原君にはきっちりと処分を受けて貰いますよ?」 「…う…はい。」 「…ふっふっふー。コレを見ても、まだそんな事が  言えるかなー…ベネットちゃん?」 ぴらり。 「…そ、それはっ!?」 「…学園長と…学生の写真ですね。  これが、何か?」 「ユウキ君は分からなくてもいいの。ベネットちゃんが  分かれば、ね。  ねー、ベネットちゃん?」 「…ああ、うっ…。」 「………ベネットせんせ、そう彼は呼んでたわねー。」 「わ、分かりました!分かりましたから、それ以上は  止めて下さい…。」 「…ん、よろしい。  それじゃ、行きましょう、ユウキ君?」 「…え、…いいんですか?」 「……こ、今回だけですよ…ルビィ先輩。」 「はいはーい。  んじゃ、ユウキ君、気配ちゃんと消してー。」 がらがらがら。 「あ、鉄仮面さん。…一体、なんだったんですか?」 「実は、実験用の特殊な鼠が逃げ出しちゃっててねー。  他人の声をコピーする鼠なのよー。  もう捕まえたから、安心してね。」 「…なるほど。その鼠が薙原君の声を真似ていた訳ですね。」 「そーゆー事。  んじゃ、私はこれでー。」 「…すみません、ルビィさん…。」 「はいはい、気にしないのー。  人間もエルフも、失敗はつきもの。  だから、次こそは頑張るのよ?」 「…はい。頑張ります。」 「ん、よろしい。  …じゃ、頑張ったユウキ君に、ご褒美あげようかなー。」 ちゅっ。 「……えっと、その、ルビィさん…。」 「…分かってるわよ、そんな切ない声出さないの。  ……いらっしゃい、ユウキ君。」