・悪役も大変です。 「…何?ハーレムエンド…だと?」 「らしいわよ、リカルド。」 「…えっと、『上の偉い方』からの報告書によると、先輩…いえ、  薙原ユウキが全ヒロインを攻略する…との事です。」 「…ふぅん、ガキの癖して大したもんだな。」 「……ちょっと待て。  つまり、私が取らないといけない行動は…?」 「そうね…。  ・クーデターを起こす。(斎香シナリオ)  ・クーデター失敗。(斎香シナリオ)  ・テラーのマテリアルに乗っ取られる。(リナシナリオ)  ・テラーになり、負ける。(リナシナリオ)  …って所かしら?」 「…おい。全く、全然、いい所が無いように思えるのだが?」 「…はっきり言ってしまえば、そうなりますね。」 「くっくっく、まぁ、悪い奴は栄えないって事だな、ボス。」 「…何暢気な事言っているの、ボッツ。  貴方だって、  ・クーデター失敗。(斎香シナリオ)  ・リカルドに魔族化される。(リナシナリオ)  だから、2回負けるのよ?」 「…うげぇ。マジかよ。」 「…あの、アゼル先輩。アゼル先輩も…。  ・クーデター失敗。(斎香シナリオ)  ・テラー化したリカルドに喰われる。(リナシナリオ)  なんで、余り良いとも言えないのですが…。」 「………うっ。そ、それを言われると辛いわね…。」 「で…お前はどうなる予定なんだ?クリス。」 「ぼ、僕ですか?  …えーと、まぁ、普通ですよ。」 「……クリス、見せなさい。」 「ああ、アゼル先輩っ!?」 「えーと…。  ・クーデター阻止(斎香シナリオ)  ・テラー化の密告(リナシナリオ)  …ちょっと、クリス。コレ、どう言う事?」 「………ほほう、結局お前が原因で破綻する、と言う訳か。  クリス。」 「え?いや、そのー…。  …ほら、やっぱり陵辱とか陵辱とか、余りよろしく無いかな…  ……なんて。」 「…ま、坊主の言ってる事は間違ってねぇんだが…。」 「……どうする?リカルド。」 「………ふむ。  たまには、メンバー交代と行くか。どうせ『上』の連中も、  余り気にしないだろう。」 「は、はいっ!?」 「お、面白そうじゃねぇかボス。  で、どう言う配役だ?」 「こうしよう。  クリス:リカルド役  ボッツ:アゼル役  リカルド:クリス役  アゼル:ボッツ役  ………たまには、私も『善人』とやらを演じてみようじゃないか。」 「え、ええっ!?  僕、陵辱かつラスボス担当ですかっ!?」 「…クリス。たまには『汚れ役』も引き受けなさい?」 「…俺、女役かよ…まぁ、2度死ぬよりはマシか。」 「………ううっ、先輩にどんな顔で見られるやら…。」 ※リカルド?の来訪より 「メガネの奴は居たか?」 「めがねの人?  …確か、居たと思うけど…。」 「…ちっ…リカルドっ!」 「…えーっと…。」 一人はごっつい男。でも女装してる。 もう一人はメガネの男。なんでオドオドしてるんだろう、コイツが。 そして真ん中に居る短髪の男は…。 「…何事だ?クリス。」 「ええっと、今回は僕が『リカルド役』でして…。」 「そう言う事だ薙原ユウキ。少し、配役替えでね。  今回は、私が『クリス役』、つまりはお前達のフォローをする役目だ。  …くっくっく。」 「…ボス、『善人』やるんじゃ?」 「おっと失礼。今までのが抜けて無くてね…ふふふ。」 全然『善人』じゃ無いぞ、リカルド…もとい、『クリス役』。 「…なんつーか…やり辛いなぁ…。」 「こっちもですよ先輩…最初からプレッシャーですよ…。」 …『リカルド役』、すでに泣き入ってるし…。 ………それに、あの女装してるごっついおっさんは、 何とかならないのか。気持ち悪い。 「まぁ、…仕方無いか。  とりあえず、…どうするんだっけ?」 「ええっと…斎香先輩を連れ戻しに来ました。  出来れば、お返し願いたいのですが…。」 「その通りだ薙原ユウキ。  斎香さんはこの…。  …この…。」 「…『この』?」 「………何でお前のフィアンセなのだクリスっ!?」 「む、無茶言わないで下さいよリカルド先輩っ!?」 「おいおい、落ち着けってボス!!」 …なんだコレは。 俺は、どうすればいいんだ? 「…あの、ユウキさん…。」 「…どうしよう、先輩…。」 「…ええっと、先輩っ!  とりあえず、キスしちゃって下さい!  そうすれば、この場は帰れますからっ!!」 「いや、お前からそれを言うのは反則だろうクリスっ!?」 「その前にちゃんと『クリス役』やって下さいよリカルド先輩っ!?」 「…ああもう、何時ものボスの冷静さは何処に行っちまったんだ…。」 …どんどん騒ぎが大きくなっていく。 ……と言うか、コレが名門『ファルネーゼAS』のトップかよ。 「ユウキさん。『リカルド役』さんもああ言ってる事ですし…。  さ、キスしましょう。」 「ええっ!?あ、あの先輩?  此処は照れながらちょっとだけのキスで…っ!?」 ちゅぱっ。 「…んっ…んむっ!?」 「…ん……んっ…。」 ちゅっ。 「…はい、終わりましたよ、ユウキさん。」 「……先輩…その、…何でディープなキスを…。」 「…な、薙原ユウキっ!?  貴様、斎香さんになんて事をおおおおっ!?」 「ちょ、ちょっとボス!  落ち着いてくれよ!コレがシナリオだろ!?」 「と、とりあえず僕達は帰りますから!  次は多分コンペの筈ですから、準備お願いします、先輩!  ……『クリス』、帰りますよ!!」 「うおおおおお、なーぎーはーらぁぁぁぁぁ………。」 ずるずるずるずる。 「…だ、大丈夫か、今回のシナリオ…。」 「…でも、あの『リカルド』なら、平和そうですね、ユウキさん。」 「ん…まぁ、中身クリスだしなぁ…。」 「…で、薙原君。  公衆面前でそのような行為…処分の覚悟は出来ていますね?」 「…ユウキ?  どう言う事か、きっちり説明して貰うわよ?」 「うわっ、学園長もリナも無茶だそんな事っ!?」