※コンペティションより 「…と言う訳で、コンペティションを開催します。」 「…それは良いんですが…。」 …頭痛い。 「…なぁ…『リカルド』。」 「…なんですか、先輩。」 「……何時から『ファルネーゼAS』はランサーの学校になった?」 「…そんな事僕に聞かないで下さいよ…。」 目の前に居るのは、この前の3人と。 どう見てもランサーにしか見えない集団。 「…セレス先生。どう見たって、こいつらメカにしか  見えないんですが?」 「…でも、ちゃんと『ファルネーゼAS』の制服着てますよ?  ほら、腕章も付けてますし。」 「いや、それ以前に腕が4本あるじゃないですかっ!?」 「たまにはそんな生徒さんも居ますよ。」 「居るわけ無いでしょうセレス先生っ!?」 だ、駄目だ…。 セレス先生は何かが欠けてる…。 「どうした薙原ユウキ先輩。困っているならこの私に聞いてください。  くっくっく…。」 「…『クリス』、頑張りは認めるが、中途半端に本来の喋りが混じってるぞ。」 「なぁに、その内『助けて下さいクリスさん』と懇願するに決まっている。  …なぁ、『リカルド先輩』?」 「………やっぱり配役戻しませんか?  物凄く悪役まっしぐらなんですけど…『クリス』さん。」 「気にするな。さあ、先に行くといい光陵学園の諸君。  我々は後から、ゆっくり、じっくりと進むとしよう…。」 『クリス』の台詞と同時に目から怪光線を放つ『ファルネーゼAS』の生徒達。 …なんか4本の腕がなます切りしてるし。 思いっきり殺す気だろお前ら。 つーか、俺は無事『ヒューズとの一騎打ち』イベントまで進めるんだろうな…? 「…大丈夫ですか、先輩?」 「ええ、大丈夫なのは大丈夫なのですが…。」 ぎゅいーん。 「…気持ちは分かります。分かりますけど…。」 「…はい。」 どぱーん。 どたたたたた。 「………えーい喧しいわメカ生徒っ!  見張るなら見張るで目立たないように見張れっ!!」 きゅいーん。 「「「………。」」」 きゅいーん。 「そんな風に見つめても駄目!  と言うか誰だランサーにこんな怪しい動き叩き込んだのはっ!?」 何故か半径5mきっちり離れ付いてくるメカ生徒。 非常に、うっとおしい。 しかも、変な所で大人しいし言う事聞くし。 これで容赦無く殴りかかってきたら反撃出来るのだが…。 『ふははははは、どうだ『銀星』特製ランサーの動きは!  人間に優しく守護する事を目的とした特別ハイスペックだ!』 「お前かリカルドぉっ!?」 『違うな。今は『クリス』。お前達を影からひっそりと護る  守護者だ。』 「コレはどう見たって嫌がらせ以外の何者でも無いぞっ!  …つーか、クリスは何処行ったっ!!」 『…『リカルド』先輩なら、ちゃんとお前達の背後から虎視眈々と  狙っているぞ?』 「「…はい?」」 「……先輩…助けて…。」 「クリスっ!?」 …どうやら、メカ生徒に駆逐されたっぽい。 哀れな…。 「…大丈夫ですか、クリスさんっ!?」 「おいおい、大丈夫かよ…。」 「す、すみません…一応、『悪役』っぽく背後をこっそり追おうと  したんですが…。」 「…あー、メカ生徒が容赦無く攻撃してきたんだな。」 「その通りです…『クリス』さん、先輩と斎香先輩以外を完全に  駆逐するよう、ランサーにデータ入力したらしくて…。」 「…それの何処が人間に優しいハイスペックなのか、俺は今  真剣にアイツに問い詰めたいぞ。小一時間程。」 むしろ、今までのまともなシナリオより性質が悪い。 …しかも暴走気味だし…誰か止めれんのかあの馬鹿。 「…えっと、クリス…じゃなくって、『リカルド』さん。」 「な、何でしょうか斎香先輩?」 「…斎香『さん』ですよ?『リカルド』さん。」 「…ええっ!?」 「斎香『さん』です。」 …先輩、遊んでるなぁ。 ま、クリスにもきっちり役をこなして貰うか。 「ほれ、ちゃんと呼べ『リカルド』。」 「せ、先輩っ!?」 「いや、お前『リカルド』だし。俺先輩じゃ無いし。」 「ほらほら、『リカルド』さん?」 「…う、ううっ…。さ、斎香…さん。」 「………。  ユウキさん、この『リカルド』さんを光陵学園に  転入させたら駄目ですか?」 「いや、思いっきり楽しもうとしないで下さいよ先輩。」 んな無茶苦茶な。 「…こほん。  所で『リカルド』さん。確か、私とユウキさん以外は  完全駆逐されると言っていましたね?」 「は、はい。」 「……ヒューズさんとエリーゼさんは大丈夫ですか?」 「「………あ。」」 「え、エリーゼ、無事かっ!?」 「何とか大丈夫ですわっ!?」 「ええいこのポンコツメカ生徒め!僕を『シーザー』の  息子と知っての攻撃かっ!!」 「………。」 びーむ。 「うわああああっ!?」 「きゃああああっ!?」 「はい、皆さんお疲れ様でした。  これで今回のコンペティションは終了となります。」 「……おい、『クリス』。」 「…どうした、先輩?」 「……ヒューズとエリーゼ、死に掛かってたぞ。  俺達が何とか間に合ったから良い物の…。」 「………ふむ。  まぁ、そんな事もあるだろう。気にするな。」 「気にするわ馬鹿野郎っ!?  と言うか、本来のシナリオより余計ハードだったぞ!?」 「…何を言う。あれだけのランサーにきっちり命令を  叩き込むのが、どれだけ大変だったか。  そこまでして、先輩と斎香先輩を護ろうとしている  この私に、何か文句でもあるのかね?」 「…『リカルド』。とりあえずコイツ殺してもいいか?」 「…それは困ります。そうなると、クーデターが  ずっと成功しっ放しになりますよ?」 「ぐぅっ…。」 「さて、そろそろ帰るとしましょうか、『リカルド』先輩?」 「…ううっ、僕なにも悪い事してないのに…何でこんな  傷だらけ…。」 「さらばだ、光陵学園の諸君!!」 「二度と来るなっ!!」 「…寝よう。もう兎に角寝よう。流石にきつい…。」 「……あの、ユウキさん…。」 「ん、何かな先輩?」 「…メカ生徒…じゃなくって、あのランサーの破片から、  持ち主を探さないといけないんですけど…。」 「…ああ、本編ではそんな話になってるな…。」 「……全部集めないといけないんです、ランサーの破片。」 「………………。」 ナンデスト? 「…全部です。」 「……ヒューズとエリーゼは…保健室か。」 「頑張りましょう…ユウキさん。」 「………『クリス』…絶対許さんぞっ!!」