・『檻』獲得イベントより。



「…なぁ、『リカルド』。」
「何ですか、『クリス』さん？」
「…コンペティションでランサーの大量同時起動が成功している時点で、
　クーデターを起こせば良かったのでは無いか？」
「………え、アレってもう成功してたんですかっ！？」
「…ボス、完璧に『クリス』になりきってて、忘れてたみてぇだな。」
「しまったぁっ！？
　とっととクーデター成功させて、暫くは支配者プレイを楽しめば
　良かったではないかっ！？」
「…あの、それはそれで物凄くシナリオが替わるので不味いのでは
　ないかと…。」
「……む、う…。
　『善人』とは、意外と面倒だな…。」
「…いや、ボスが『善人』って時点で、無茶があるってゆーか…。
　…そう言えば坊主、『ドッツ役』はどうなってんだ？」
「そうだぞ『リカルド』。もう居てもいい頃だろう？」
「あ、『ドッツ』さんは今頃特訓中ですよ？」
「…おい、俺が言うのもなんだが…まさか、本当にあの特訓を
　姉ちゃんにやらしてんじゃないだろうな。…死ぬぞ？」
「…え？シナリオどおりにしちゃいましたよ？」



「「「………。」」」



「い、今すぐ『ドッツ』をつれて来い『リカルド』！！」
「は、はいっ！？」
「…おいおい、姉ちゃん生きてるだろうな…？」










「……すみません『ドッツ』さん。大丈夫ですか？」
「………まぁ、『リカルド』は仕方無いとするわ。
　…ねぇ、『クリス』。」
「な、何だ？」
「…貴方ねぇ、私を殺す気っ！？一体何考えてるのよ
　あの地獄の特訓メニューは！！
　アレやって生きてる奴は人間じゃ無いわよっ！？」
「…なあ姉ちゃん、さり気なく俺の人間性を否定してねぇか。」
「しかもおやつのメロン抜きって何よ！？私の楽しみを削って
　そんなに楽しいの！？」
「いや、ほら、まずは欲を全て削り取って、生きる事のみを
　目標とさせるのが目的で…と言うか、お前メロンが好き
　だったのか…。」
「…えっと、『クリス』さんも『ドッツ』さんも落ち着いてくださいよ。
　これからが本番なんですから…。」
「……今はとりあえず引くわ。
　………この場面が終わったらちょっと来なさいよ『クリス』。」
「む、むぅ…。」
「…ボス、頑張ってくれ。」



「……あー、そろそろ入っていいか？
　つーか、出直そうか？」
「い、いえ、こっちは大丈夫ですので…どうぞ。」
「うい。…を、凄い豪華だなぁ。流石は『ファルネーゼＡＳ』。
　金かけてるなぁ…。」
「ふっふっふ、まぁそこら辺りの学園と一緒にして貰っては困るな。
　白い悪魔は伊達では無いのだよ。」
「…いや『クリス』さん、そんなガンダムネタはいいですから。
　……えっと、とりあえずそちらは捕まってると言う予定ですので、
　一応捕まったって事でお願いします。」
「お、了解。
　…うわー捕まったやめろこのやろー。」
「…な、何ていい加減な捕まり方だコイツ…。」
「…ねぇ『リカルド』、こんなのでいいの？」
「ま、まぁ『檻』を持ってきていただくのが役割ですから…。
　…で、『檻』は？」
「ああ、コレな。ほいよっ。」

ぽいっ。

「おっと。」

『…我を受け取りし者よ。我が名は『檻』。名前はまだ無い。
　さぁ、己の欲望を曝け出すが良い…。』

「………。」
「…ど、どうした『リカルド』？」
「……お、おおおおおおおおおおっ！？」

どっぱーんっ。

「うおっ！？…『リカルド』っ！？」
「な、何よっ！？」
「おいおい、どうしたってんだ！？」
「……あー、もしかして『檻』に支配されちゃったか？
　渡す前に説明するの忘れてた。」
「「「何っ！？」」」

『…さあ、お前の欲望は何だ？女か？金か？それとも世界か？
　我がその望み、叶えてやろう…。』

「…僕の、僕の望みは…っ。」

『…欲望は、何だ？』

「……お父さんとお母さんにマッサージチェアを買ってあげる事だっ！！！」

どっぱーんっ。

「「「「………は？」」」」




――暫くお待ち下さい――






「…あれ？」
「……気がついたようだな。大丈夫か、『リカルド』？」
「…僕は？」
「一時的に、『檻』に支配されていたようだな。
　だが、もう落ち着いただろう？」
「…はい、持っていても特に何にも…。」
「……まぁ、願いが叶っちまったからなぁ…。
　つーか、そんなちんけな願いかよ坊主…。」
「…それで暴走が治まったのだから、いいんじゃない？」
「その通りだ。
　…さて、これからが本番だぞ『リカルド』。
　あの薙原ユウキをじっくりたっぷりねっちりこってりいたぶるのだ。
　分かったな？」
「……えっと、一応分かったんですけど…『クリス』さんは、助ける気
　あるんですよね…？」
「………勿論だ。」
「ボス、その間は何だよ。」
「…きっと自分との葛藤があったのよ、『アゼル』。」











・ちょっとしたおまけ。



「ちなみに、私があの『檻』を持ったらいつものシナリオになる訳だが…。
　お前らが持つとどうなるのだ？『アゼル』に『ドッツ』？」
「…俺は…酒かな。」
「私は」
「いやお前は聞かん『ドッツ』。
　…今日からちゃんとメロンを準備してやるからな…。」
「…そうだな。俺の分もやるよ『ドッツ』。」
「な、なんで二人して哀れんだ目で見るのよっ！？」