ひめはじめ。 ・ミューゼル・クラスマイン(ぱすてるチャイム) 「…ど、どうかな…カイト君。似合ってる?」 「いや、その前にだ…ミュウ。  どうして、俺はベッドに拘束されてるんだ?」 目の前に居る、数年ぶりに舞弦学園制服で身を包んだミュウに、一応冷静に突っ込む。 ある一部分は『何時でも大丈夫ですぜ大将!』と主張しているが…。 「えっと…逃げないように、かな?」 「逃げないようにって…あのなぁ。」 「だって…カイト君ってば、毎年逃げようとするし。」 「そ、それは…。」 ミュウが絶倫なのが悪いと思うんだけど、とはとても言えません。 言ったら凄い神術飛んで来るし。具体的には『神の左手』とか。 「だから、今回は逃げられないように先手を取ってみたの。」 「だからって、背後からぶん殴るのはどうかと思うのだが…。」 「もう、わたしの攻撃を避けられないなんて、カイト君…たるんでるよ?」 「思いっきり補助魔法掛けてから攻撃してきたミューゼルさん、何か言った?」 「あはは…気にしちゃ駄目だよ、カイト君?」 「思いっきり気にするわっ!?」 年が明けて、みんなで新年の挨拶をしたら、いきなり頭に衝撃。 で、目が覚めたらコレだし。 ……あれ、そう言えば。 「……みんなはどうしたんだ?確か、一緒の部屋に居た筈…。」 「…………。」 「おい、どうして俺から目を逸らすんだミュウ?」 「…ごめんね、みんな。でも、今はカイト君の方が大事なの…。」 「って、一体何したんだミュウっ!?」 い、生きてるだろうな……? まぁ、今の俺はむしろ自分が生き残れるかの方が問題なんだけどな。 「……ね、カイト君。」 「な、何だ…?」 「……えっと、ね。その……ひめはじめ、しよ?」 顔を真っ赤にして呟くミュウ。 上目遣いがポイントです。 「…うっ。」 思わず『はい』と言いそうになるのを、すんでの所で堪える。 だ、騙されるな相羽カイト。 これはいつものミューゼル・クラスマインの策略だ。 此処で『はい』と答えようものなら…色々と吸い尽くされるぞ? 「…こ、今年こそは騙されないぞっ。」 「……お願い。もう、我慢できないの…見て?」 そう言って、ミュウが自分のスカートをたくしあげる。 「み、ミュウ…!?」 「…カイト君が欲しくて…もう、たくさん……濡れちゃってるの。  ねぇ、欲しいの。カイト君の…おっきくて、熱くて、硬いのが。  大好きなカイト君だから、我慢できなくて…身体が疼くの。」 ごくり、と喉を鳴らしてしまう。 今のミュウは…淫らな女の子だった。 俺にだけ見せる、エッチなミューゼル・クラスマインの姿。 「お願い、カイト君。  ……これ以上…いじわる、しないで……。」 「………。」 ああ、神様。 アンタ、俺に死ねと仰るのですね? 分かりました。立派に死んでみせましょう。 「……拘束を解いてくれ、ミュウ。  これじゃ、ミュウを抱きしめられない…。」 「……ん。」 ミュウの呪文と共に、身体の戒めが解かれる。 「…えっちだな、ミュウは。」 「…うん。わたし、凄くえっちだよ?知ってるでしょ?」 「……死ぬほどね。」 「でも、それがわたしだから。…嫌いになった?」 「……他の男に同じ事したら嫌いになる。」 「なら、大丈夫だよ。  …カイト君だけだから。わたしを、こんなにしちゃう悪い男の子は。」 ミュウに抱きつかれ、そのままベッドに引き倒される。 「だから……今は、わたしだけを見て。  コレットや沙耶ちゃんやセレスを思い出しちゃ…駄目だからね?」 「それじゃ、思い出せないように…いっぱい、えっちな事するからな?」 「……うんっ。」 そして、御互いに見つめあい。 「愛してる、ミュウ。」 「愛してるよ、カイト君…。」 一方、その頃。 「……コレット、大丈夫か?」 「…何とかね。」 「はわわわわ、またモンスターですっ!?」 「……帰ったら、ミュウはきっちりお仕置きだな。」 「賛成。…ま、今は…無事に此処を抜け出す事を考えましょうか。」 「ええっと、そもそも此処は何処なんですか…?」 「…何処なんだ、コレット?」 「そんなの知る訳無いでしょ!?」 ・ルーシー・ミンシアード(ぱすてるチャイムContinue…っぽいけど違うかも) ※式堂刹那(ぱすてるチャイム)とルーシーの繋がりを判らないとさっぱりかと思われます。 「ルーシー、入るぞー?」 がちゃり。 「……えー、と?」 ルーシーの部屋に入ると、何故か別の女性が居た。 耳がとんがってるのを見ると…ハーフエルフとかかな? でも、珍しい服装だ…って、そんな事はどうでもいいや。 「あの、此処はルーシー・ミンシアードって娘の部屋なんですけど…。  どなたですか?何故此処に?」 「……。」 その女性は、俺から目線を逸らし、その後暫く虚空をぼーっと眺め。 「…仕方ありません。此処は平和的に暴力で解決しましょう。」 「は?」 何かを呟いたかと思うと、女性のまわりに黒い何かが発生する。 「…黒い、蝶?」 「大丈夫です。…多少痛いとは思いますが、命に別状は……。」 「……別状は?」 「………ごー。」 「いや、ちょっと待てっ!?」 「…うーん、蝶が、蝶がぁ…。  ……はっ!?」 「目が覚めましたか?」 女性の声で目を覚ます。 目の前では、俺に攻撃をしてきた女性がぼーっと立っていた。 「あんた、一体…って、動けないっ!?」 「ほんのちょっと縛っておきました。多分動けません。」 「いや、縛ったって…そもそもあんた……。」 誰だよ、と聞こうとして、ふと気づく。 姿格好は全く別人だけど、この雰囲気、仕草。 ……もしかして。 「…ルーシーか?」 「流石はユウキ。正解です。ぱちぱちぱちー。」 ぺちぺち、と目の前で拍手をする女性…もとい、ルーシー。 「しかし…何があったんだ?そんな姿になって…。」 「簡単に言うと…昔話した『転生前の私』の姿です。」 「……。」 ルーシーから聞いていた話。 邪悪な存在――ラガヴリによって操られていた少女。 それが……転生前のルーシー。 「で、でも、何故急にそんな姿に…?  ま、まさか、また…ラガブリに操られて!?  それとも、それ以外の何かに…?」 「いいえ、そうではありません。  原因は分かりませんが…一時的なものだと思います。  現に…ニィさんはニィさんのままですし。」 ルーシーが横を見る。 そこには、ニィさんが寝息を立てていた。 「……そっか。ルーシーに危険が無いなら…とりあえずは安心か。  でも、早く戻れるように方法を考えないとな。」 幾ら過去の自分とは言え、やはり違和感はあるだろう。 「…いえ、過去の自分だという事もあるのか、違和感は感じません。」 「……人の思考を読まないように、ルーシー。」 「すみません。  ……まあ、過去の私を知っている人々が、この姿を見たら  余り良い事にはならないと思いますが…。」 「そうか…なら、元のルーシーに戻るまでは、余り出歩かない方が  良いかな?」 「…いえ、構わないでしょう。」 「……なんで?」 「過去の私を知っている人々は殆ど居ませんから。  逢う確率は無いに等しいです。」 「そうなのか…。」 「それに…。」 そこで、ルーシーは自分の身体を見つめる。 「……この姿に合う服も下着もありません。  買出しに行かなくては…。」 「…あー、言われて見ると…。」 確かに、日頃のルーシーより背が高い。 そして何より……グラマーです。 「……ユウキ、どうしてそんなに胸をじーっと見てるんですか?」 「…いや、別に、意味は無いぞ?」 慌てて目線を逸らす。 「……なるほど。分かりました。」 「分かったって…何が?」 「ユウキ…この姿の私に欲情しましたね?」 「うっ。」 ビンゴ。 「ほほう…日頃一般レベルから比べて幼い私の身体をあれだけ貪っておきながら、  更に純真無垢で明らかに男を知らないこの身体も汚そうと…そう言う事ですね?」 「いや、とりあえずどこから突っ込んでよいやら…。」 純真無垢って部分か? それとも幼い身体を貪ってるって部分か? ……後者は否定できんな。うん。 とりあえずは…話逸らすか。 「ま、まぁその話は置いておいて…とりあえず、俺の拘束を解いてくれないか?」 「……。」 「…ルーシー?」 「……ふむ。この姿で…と言うのも試してみましょうか。」 しゅるり。 「って、何で服を脱いでるんだルーシー!?」 「…そうでした。ユウキは、半脱ぎの方がシチュエーション的に萌えるのでしたね。」 「いやそう言う問題じゃ無くてさ!?」 「否定はしない、と。…新たな性癖が確定しましたね、ユウキ。」 「うぐっ…。と、ともかく、馬鹿な事は止め…んぐっ!?」 「んっ…ちゅ、……んっ。」 台詞をさえぎり、ルーシーが俺にキスをしてきた。 …姿がルーシーじゃ無い分、なんか…。 「…見知らぬ女性との情熱的なキスに、ルーシーへの罪悪感と、背徳感で興奮するユウキであった。」 「……ノーコメントで。」 「ユウキ、身体は正直ですよ。……ほら、もうこんなに大きくなってます。」 ゆっくりと、俺の息子をズボンの上から擦るルーシー。 「…ユウキの方は準備万端ですね。」 「そ、そりゃあ…幾ら姿は違っても…ルーシーとえっちなコトしてる訳だし。」 「……。」 無言のまま、ルーシーが俺に擦り寄ってくる。 「…きっと、私はルーシーだって気づかれないかと思っていましたが…ユウキにはやっぱり  判るのですね。」 「……ルーシーだからな。大好きなルーシーを、間違えるもんか。」 「…今の台詞、後でもう一回プリーズです。永久保存しますから。」 「って、まだ録音してたんかいっ!?」 「勿論です。現在35巻目。」 「うわー……。」 こっそり葬り去りたい。ほんとに。 「と、言う訳で。」 そう言って、ルーシーはベッドの上に俺を押し倒し。 「いっぱい、甘い言葉を囁いて下さい。」 「甘い言葉だけで…いいの?」 「…イジワルです、ユウキ。  ………私を、たくさん、可愛がってください…。」 「ん。愛してるよ、ルーシー。」 「愛してます、ユウキ。」 で、一方その頃。 「ああもう、一体何なのよこのトラップはっ!?」 「リナ、文句言ってる暇あったら解除手伝ってよ!」 「くっ…こんな事なら、最初からユウキさんの部屋に忍び込んでおくんでした…。」 「斎香さん…それ犯罪です。」 「ユウキさんの為なら、犯罪だろうと問題無しです。…多少の事なら、お爺様にもみ消して…ゴホン。」 「さ、斎香……今年はエロおねえさんだけじゃ無くて、どす黒いんだね…。」 「し、失礼なフィルさんっ!?」